胃がんの原因
現在胃がんの99%はピロリ菌が原因と考えられています。ピロリ菌に感染すると胃に炎症が起き、炎症が長期間続くと萎縮性胃炎となり、そこから胃がんが発生します。
ピロリ菌の感染時期
ピロリ菌の主な感染時期は乳幼児期で、それ以降の感染は少ないことが報告されています。衛生状態の良くない井戸水を使っていた頃の飲み水や、ピロリ菌陽性の親から経口的に感染するケースがほとんどです。近年は上下水道の整備等により衛生状態が良くなってきたため、低年齢者の感染率は低下してきています。
ピロリ菌感染による萎縮性胃炎の症状
ピロリ菌感染によって起こる萎縮性胃炎の多くは症状がほとんどなく、感染に気づかずにいることは少なくありません。そこで、胃がん予防のためにも、胃の内視鏡検査とピロリ菌の検査をお勧めします。もし、ピロリ菌がいたら除菌することが可能です。
ピロリ菌感染により生じる胃がん以外の疾患
ピロリ菌感染と関連がある疾患には、胃がんのほかに、胃・十二指腸潰瘍、モルトリンパ腫、血小板減少性紫斑病などがあります。胃・十二指腸潰瘍の患者さんの多くはピロリ菌に感染しており、潰瘍は再発を繰り返しやすいのですが、ピロリ菌の除菌により再発する方が非常に少なくなります。
ピロリ菌の治療
医療保険を使ってピロリ菌の治療するためには、胃の内視鏡検査が必要です。治療は胃酸分泌抑制薬1種類と抗菌薬2種類を7日間服用します。1次除菌不成功の方は、2次除菌まで医療保険を使用した治療が可能で、ほとんどの方が除菌できます。
胃がんの予防
ピロリ菌を除菌することにより胃がんのリスクは低下しますが、その予防効果は1/3~2/3程度と報告されています。ピロリ菌感染により生じる萎縮性胃炎は、感染期間が長くなるほど進行し、進行するほど胃がんのリスクが高くなることがわかっています。よって感染期間が短く、萎縮性胃炎の程度が軽い若い年代のうちに除菌することで胃がんの予防効果は高くなります。
胃がん予防のために内視鏡検査、ピロリ菌検査を行い、感染している場合は除菌しましょう。